狭山茶と原木シイタケの生産に携わるスレンダー美人の貫井香織さん。かつては東京の採用コンサルティング会社に勤めていたという異色の経歴をもつ、生産者の思いを聞いた。
「この季節は蚊が多くて大変ですね~」と涼しい顔で語る
「おいしいと言って食べてくれる方がいるのは生産者としての喜びですね。うちの原木シイタケを食べて、原木シイタケが食べられるようになったという方がいる。そんな方をどんどん増やしていくのが仕事の目標であり、喜びですね」
貫井香織さんが、勤務していた採用コンサルティングの仕事を辞め、埼玉県入間市の実家が経営する農園で、お茶と原木シイタケの生産に取り組み始めたのは3年前のことだ。実家は祖父の代から続く農家。茶栽培を中心に行っていたが、ペット飲料の普及で茶葉の需要が減ったことから、現在では原木シイタケの栽培が生産が7割を占めるという。貫井さんは、現役の父・義一さん、母・ツヤさんと森の中とビニールハウスでの栽培に奮闘している。
彼女が働き始める以前は、地元でのみ原木シイタケを販売していたが、現在は六本木で毎週土曜日に開催される朝市『アークヒルズ ヒルズマルシェ』で直売するなど、地元以外でも販売するようになった。
「東京の市場に持っていくときは、その日の朝に採れた原木シイタケを私が届けます。本当に採れたてですから、ただ焼くだけでも、おいしい。『シイタケって本当はこんな味だったんだっ』てわかってもらえるんです。シイタケは苦手だったのに、うちの原木シイタケを試しに食べてみたらおいしくて、それから食べられるようになったという方もいるんですよ」
本物の味というのは、意外に知られていないのかもしれない。貫井さんによれば、栽培方法によって味は大きく左右されるのだという。
安定した供給のためにビニールハウスでも生産を行う








「原木シイタケには、おがくずを固めたブロックを床にして作る菌床シイタケと、木に植えて作る原木シイタケがあって、うちは原木にこだわっています。原木のほうが手間がかかるので、現在日本で流通しているシイタケのわずか2~3割が原木シイタケ。流通量が限られますから、スーパーでは手に入れにくくて、ほとんどは菌床シイタケなんです。でも、原木シイタケの方が断然おいしいんです」
何気なく店頭で買っているシイタケだが、鮮度も味を決める大きな要素のようだ。
「原木シイタケってすごく足が早いんですよ。長くても1週間程度しかもちません。普通スーパーなどの店頭に並ぶまで、だいたい3~4日はかかりますが、買ってきてもすぐに食べずに2~3日冷蔵庫に入れますよね。そうすると、もうそこで本来の味わいというのはなくなってしまうんです」